当相談室では代表の専門が吃音であることから、吃音のある方の支援に力を入れています。
吃音は原因が明らかになっていない・治療法が確立されていないなどの理由で受け入れを敬遠する言語聴覚士も少なくなく、また高い専門性を持った言語聴覚士が不足している状況です。しかし、近年はさまざまな治療の効果検証がなされてきており、特に幼児の治療についてはガイドラインも策定されました。
当相談室では“エビデンスに基づく吃音支援”をモットーに、最新の知見に基づいた、ご相談者様に最適と思われる支援を行うことをお約束いたします。幼児から成人の方まで受け入れておりますのでお気軽にお問い合わせください。
※なおオンラインでの指導はオンライン吃音相談をご利用いただく形となります。

年代別の吃音支援

幼児の吃音支援

テスト幼児期の吃音治療は2021年にガイドラインが策定されました。当相談室ではガイドラインに則り、発症初期については環境調整を、その後お子さま・ご家庭の状況に応じてDCMに基づくアプローチやリッカムプログラムを実施します。治療の目標は「寛解」です。一般的に幼児期の吃音は早期の介入が望ましいとされており、発症後1年または就学の1年半前の時点で吃音がある場合には治療の開始が推奨されています。

小学生の吃音支援

吃音のある小学生への支援は、言語療法・認知行動療法・教育的支援を軸に、「吃音症状」「吃音への自己認識」「生活環境」の3側面へのアプローチを行います。吃音症状を軽減することも大切ですが、お子さんが吃音に囚われることなく、楽しく学校生活を送れるようにサポートすることを重視しています。また、当相談室では低学年のお子さまについてはリッカムプログラムも実施しております。

中高生の吃音支援

吃音のある中高生への支援は、吃音症状はもちろんですが、不安や回避行動などの二次的な問題への支援に重きを置いています。思春期は他者から見られ方を強く気にするようになる場合が多く、コミュニケーション自体に消極的になってしまうことが多々あります。言語療法と並行して認知行動療法を行うことで、社交不安を軽減・予防することが重要であると考えています。

大人の吃音支援

成人の吃音治療は、言語療法と認知行動療法を軸に、QOLの低下につながっている要因を解消していくことを重視しています。「電話」「プレゼン」「注文」など特定の場面で強い不安感を覚えたり症状が強く出る方については、まずそこに絞った支援を行い、できるだけ短期間で困り感を軽減することを目指しています。

代表的な支援方法

吃音の発症は体質によるものが大半だと言われていますが、発症後の経過にはコミュニケーション環境も影響します。お子さんがストレスを感じずにコミュニケーションをとり、楽しくお話しできる環境を整え、流暢に話す機会を増やしながら、経過を観察します。

Demands and Capacities Modelという吃音の発症モデルに基づき、養育者の子どもへのコミュニケーション態度の変容を促し、子どもが流暢に話しやすい環境を作ります。このモデルでは、子どもへの要求と子どもの能力とのバランスが崩れると、吃音が現れやすくなると考えられています。環境調整に加えて1日15分程度子どもと親のマンツーマンの時間を設け、遊びや会話を通して楽な発話モデルを提示し、子どもの発話の流暢性を促します。

行動療法の理論に基づき、子どもの発話行動に対して、「流暢に話せたことを褒める」「吃音が出ていたことを知らせる」さまざまな声掛けを行い、流暢な発話を強化(頻度を増やす)します。家庭での取り組みが中心となりますが、ワークショップ受講した言語聴覚士の指導の下で行うことが推奨されています。Picusにはワークショップ受講済みの言語聴覚士が複数在籍しています。

柔らかな声の出し方や発音方法を習得し、吃音をコントロールすることを目指す流暢性形成法や、力の入った難発症状を楽な繰り返しに替える吃音緩和法などがあります。いずれも流暢に話すことに直結しますが、日常生活、とくに自信が苦手とする場面で使いこなせるようになるまでにはかなりの練習量が必要となります。

吃音に伴うストレスや不安を軽減するために、認知的な思考パターンや行動を変えることを目的とします。認知行動療法にもいくつかの手技がありますが、吃音に対しては「心理教育」「暴露療法」「認知再構成法」「マインドフルネス」などが用いられています。当相談室では公認心理師の資格も有したスタッフが対応します。

吃音の当事者への働きかけだけではなく、学校や勤務先への合理的配慮の依頼や環境整備により、吃音のある方が不安感や困り感を覚えずに過ごすことができるようサポートすることも支援の1つです。当相談室では合理的配慮の依頼書や各種機関への意見書の作成も行っております。※診断書の発行は致しかねます。